在宅医療でのチェック体制

在宅医療では病気の状態を把握するために連絡先をお伝えしたり、病状の変化に備えて予測をお伝えしてご自身、ご家族でのセルフケアのちからを高めます。

病気を抱えて自宅や介護施設で過ごすときには、ご本人、ご家族が不安を抱えてしまうことがあります。病気の状態が急に悪化したらどう対応してよいかわからないという不安です。自宅にいるときには、ふつうは医療者はいません。

こういった不安を解消するために在宅医療では在宅医と訪問看護ステーションが連携して緊急時の連絡体制を構築して、何か問題があった時に対応できるようにします。

基本はセルフケア

ご自宅で過ごすとき、体調などについてチェックを担う最初のキーパーはご本人、ご家族になります。ご自身、ご家族が状態を把握、対応することをセルフケアと呼びます。ですから、ご自身やご家族が状態を把握できないとか、問題があっても連絡が取れないなどセルフケアが全くできないときには在宅医療は難しいかもしれません。自宅で24時間ずっと医療者の誰かが見張っておくことはできません(ご本人、ご家族が医療関係者の場合はちょっと違う話になりますが)。

定期的な訪問・観察

定期的に看護師・医師・その他多職種が自宅に訪問して状態をチェックします。病気や日常生活の状態に応じて訪問の回数を決めます。訪問看護の訪問回数は医療保険と介護保険のルールでやや複雑です。必要な時には毎日訪問することもできますが、特別訪問看護指示という手続きがひつようです。

訪問診療は必要に応じて毎日とか、週に数回とか週に1回とか2週に1回などと回数をご本人・ご家族と相談しながら決めます。定期以外のときに連絡をいただいて訪問することは往診とよび、医療保険のルールで訪問診療と往診は区別して呼ばれます。

医療者と連絡を取る

病気などのため症状が変化するとご本人・ご家族では対応できない問題も起こってきます。そういった時にはご本人、ご家族に連絡をしていただきます。ご自宅や介護施設に訪問看護ステーションの連絡先や在宅医の連絡先をお渡ししておき、いつでも連絡が取れるようにしておきます。おもに携帯電話や固定電話で連絡を取りますが、場合によってはメールやFax、TV電話そのほかの通信機器を使うこともあります。

状態の変化の予想と説明

医療者は知識と経験から、病気が今後どのような経過をたどり、どのような症状が起こるかをある程度予測できます。

医療者があらかじめ予想される症状や変化を説明しておき、そのような時にどのような対応をしたらよいかお話ししておくと、ご本人、ご家族は新たな症状が起こっても、あまり慌てずに対応することができるようになります。こういった医療者の予想と説明は大変重要です。ただ、医療者にとっても予想外の変化も起こることはありますので、すべて予想できるわけではなく、困ったらすぐに相談していただくのが大切です。

予想に基づいた体制の構築

医療者は病状の変化をあらかじめ予想して、対応が困難とならないような体制を構築します。痛みが増えそうなときは予備の痛み止めを処方しますし、看取りが近いと感じたら「危篤ですから皆さんお集まりください」といったようなお話をします。

病気の種類によっても観察の仕方は変わってきます。例えば心不全の場合には体重、むくみの有無、水分摂取量、塩分摂取量、尿量などが重要になりますし、肺気腫の場合には酸素飽和度と呼吸苦・労作時呼吸困難などをチェックしますし、認知症であれば記憶障害、日常生活動作の障害の程度、せん妄の有無や睡眠の状態、易怒性の有無などを観察します。

病院と似ている在宅での医師と看護師の役割分担

病院に入院しているときにはベッドにナースコールのボタンがあります。入院中の方が具合が悪くなったなど看護師に連絡したいときにはそのボタンを押します。すると看護師がやってきてどうしましたか?と用件を伺います。その用件が看護師が解決できるものであれば看護師が解決し、医師に対応を求めるような用件なら医師を呼びます。

在宅で療養しているときにはナースコールのボタンはありませんが、電話でご連絡いただきます。すると訪問看護師がまず電話でどうしましたか?と用件を伺います。電話での確認で済むことは電話で対応し、訪問が必要な時には訪問看護師がご自宅に訪問します。状況を確認し、看護師が解決できるものであれば看護師が解決し、医師に対応を求めるような用件なら医師へ連絡します。

このように、「入院中に看護師が対応する役割」と「在宅で訪問看護師が対応する役割」は似ているところがあります。

「病棟のナースステーションから病室までの廊下」 が 「訪問看護ステーションからご自宅までの道路」に変わるようなものです。

24時間365日対応が基本ですが要確認

訪問看護ステーションや在宅支援診療所の多くは24時間365日対応をしていますが、その医療機関の運営の方針によっては24時間対応ではない場合もあります。訪問看護ステーションや在宅支援診療所と契約するときに対応時間をご確認ください。

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