入院医療と在宅医療の違いについて考察します。それぞれメリットとデメリットがあります。
大がかりな検査・手術・集中治療など病院でしかできない治療というのはたくさんあります。こういった検査・治療を提供するためには入院が必要です。
自宅でのケアは基本的にはセルフケアですから、ご本人、ご家族が最初のキーパーになります。ご本人・ご家族がおかしいと思って訪問看護師へ連絡していただいたら10~30分(地域によってはもう少し時間がかかります)で訪問看護師が訪問し、観察して対応します。超急性期の病態では対応は困難です。
在宅医療では自宅での安らぎ・家族と一緒に過ごす・地域や職場での役割を取り戻すなど、入院治療では提供が難しいことが提供できます。
看取りの場面では集中治療よりも家族と一緒に過ごすほうが大事かもしれません。そういった時に何が大切かと思うのはご本人・ご家族の価値観によるものであり、医療者が押し付けるものではありません。治療は打ち切って家族と一緒に過ごしたいという方もいらっしゃるでしょうし、最後の最後まで治療を受け続けたいという方もいらっしゃるでしょう。正解はありません。価値観に基づいた選択です。
入院のメリット
医療者(看護師・医師)が近くにいる・安心
モニタリング(心電図や酸素飽和度など)がすぐ可能
集中治療・手術などの治療が可能
CT検査、MRI検査、血管造影など大がかりな検査が可能
入院のデメリット
面会が制限される
居場所の自由度が低い・おちつかない
起床時間・消灯時間など生活リズムが決まっている
テレビ・ラジオ・楽器演奏など音が自由にできない・同室の患者の急変のときに隣で医療者がバタバタと音を立てる
院内感染のリスク
持ち物に制限がかかる
在宅医療のメリット
家族と一緒に過ごせる・面会は自由
居場所は自由・落ち着く
生活リズムは自由
音による悩みが少ない
院内感染のリスクは無い
趣味などの物品の置き場も自由
在宅医療のデメリット
医療者は近くにいない・不安
モニタリングは普通は行わない(最近では在宅でもモニタリングできる機器が出てきています)
高度医療は難しい
CT、MRI、血管造影など大がかりな検査はできない
優劣を競う問題ではない
どちらが良い・よくないという問題ではなく、ご本人、ご家族の価値観、希望に合わせてどちらを選ぶかです。
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